シリーズとして『尿トラブルと漢方治療』という内容で、少しずつになりますが当ブログでご紹介しています。
前回のブログでは、八味地黄丸(はちみじおうがん)について紹介させていただきました。
八味地黄丸(はちみじおうがん)は、夜間頻尿や軽い尿もれ、残尿感、排尿困難などの症状に効果があるとご紹介させていただきました。
今回のブログでは、清心蓮子飲 (せいしんれんしいん)という漢方薬をご紹介いたします。
清心蓮子飲 (せいしんれんしいん)とは?
清心蓮子飲 (せいしんれんしいん)は、ストレスによる膀胱炎様症状や、神経質になり頻繁に尿意を催すがトイレに行くと出ない、など、精神疲労によって生じる尿のトラブルによく処方され、漢方医学的にいうと、気虚(元気がない、機能低下など)・陰虚(体に潤いがない)に伴う虚熱(イライラ、煩躁など)の状態にアプローチする漢方薬です。前回のブログでご紹介した八味地黄丸(はちみじおうがん)は、加齢による泌尿器の衰えなど加齢現象による体力低下などへのアプローチに対して、清心蓮子飲 (せいしんれんしいん)は身体の過労や精神的ストレスからの体の疲れからくる排尿トラブルにアプローチするというイメージになります。
清心蓮子飲 (せいしんれんしいん)は、以下の作用がある9種類の生薬が配合されています。
・蓮肉(レンニク):清心益腎作用(心の熱を冷まし、腎を補う)
・麦門冬(バクモンドウ):滋陰作用(体を潤す)
・芩(オウゴン):上焦(横隔膜から上の胸部)の熱を冷ます
・地骨皮(ジコッピ):虚熱(イライラ、煩躁など)を冷ます
・茯苓(ブクリョウ):利水作用により尿の病変を改善する
・車前子(シャゼンシ):利水作用により尿の病変を改善する
・人参(ニンジン):気虚による倦怠感や機能低下の症状を改善する
・黄耆(オウギ):気虚による倦怠感や機能低下の症状を改善する
・甘草(カンゾウ):気虚による倦怠感や機能低下の症状を改善する
また、蓮肉(レンニク)、茯苓(ブクリョウ)には安神作用があるので神経性の尿のトラブルを改善する働きがあるとされています。
頻尿、排尿痛、残尿感などの排尿異常を感じたり、胃腸が弱く疲れやすい人で、不安感やイライラ感、不眠など神経症状をともなうときなど、一度ためしてみてもよいかもしれません。
当クリニックでは、地域のかかりつけ医として患者さんに信頼され、どんなからだの不調やお悩みもご相談いただきたいと考えております。
このような尿トラブルについても、不安やお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。