女性と瘀血(おけつ)⑥
第6回のテーマは「瘀血を予防・改善するための食養生と生活習慣」です。
前回は、瘀血(血の滞り)が引き起こす肩こりや冷えのぼせ、生理痛などの具体的な不調と、漢方薬によるアプローチについてお話ししました。漢方薬で「血」の巡りを整えることも非常に効果的ですが、何よりも大切なのは「日々の暮らしの中で瘀血を作らないこと」です。今回は、ご自宅で今日から始められる食養生やライフスタイルの工夫をご紹介します。
日々のセルフケアと食養生
血を巡らせる「食養生(しょくようじょう)」のポイント
漢方では「医食同源(いしょくどうげん)」と言い、毎日の食事が身体を作る基本と考えます。瘀血を改善するためには、「血を固まらせない温かいもの」や「血の巡りを良くする食材」を意識して摂ることが大切です。
巡りを良くする「活血(かっけつ)」食材
古い血を停滞させず、流れをスムーズにしてくれる食材を食卓にプラスしてみましょう。
- 黒い食材: 黒ごま、黒豆、ひじき、キクラゲ(東洋医学で「腎」を補い、血の巡りを助けます)
- 香味野菜・スパイス: 生姜、ネギ、玉ねぎ、ニラ、ニンニク、ショウガ、シソ、シナモン(身体を温め、「気」と「血」を動かします)
- 青魚・酢・青菜: サバやイワシなどの青魚(EPA・DHA)、お酢、青パパイヤや菜の花など
控えめにしておきたい食材
血をドロドロにさせたり、身体を冷やして血流を悪化させたりする食材は摂り過ぎに注意しましょう。
- 冷たい飲食物: ジュースやアイス、生野菜の摂り過ぎは胃腸を冷やし、「血」の巡りを止めます。
- 油っこいもの・甘いもの・高脂質食: 粘り気を生み出し、体液を煮詰まらせる原因(ドロドロ血)になります。
今日からできる「生活習慣」の工夫
身体を物理的に温めること、そして「血」を動かすための「気」をしっかり巡らせることがポイントです。
お腹と「首・手首・足首」を温める
冷えは瘀血の最大の敵です。特に「三つの首(首・手首・足首)」と「お腹(太ももの付け根や子宮周辺)」には太い血管が通っています。
- 夏場でも冷房の効いた室内ではカーディガンやストールを羽織る
- シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯(38〜40℃)にゆったり浸かる
- お腹周りを温めるハラマキやレッグウォーマーを活用する
軽い運動で「ポンプ作用」を高める
筋肉(特に下半身の筋肉)は、血を心臓へ送り返すポンプの役割を果たしています。
- 1日20分程度のウォーキング
- ふくらはぎの伸び縮みを意識したストレッチやアキレス腱伸ばし
- デスクワーク中にかかとを上げ下げする運動
夜更かしをやめ、質の良い睡眠をとる
漢方では、「血は夜寝ている間に作られ、浄化される」と考えます。夜更かしは「血」を消耗させ、血虚(血不足)から更年期や産後の瘀血を悪化させます。深夜のスマホを控え、日付が変わる前には布団に入るよう心がけましょう。
自分の身体を労わり、心地よい巡りを
女性の身体は、月経、妊娠・出産、更年期と、人生の中で激しい変化の波を乗り越えていきます。その過程で生じる不調やコリは、決して自堕落だから起こるものではなく、一生懸命に生きている身体からの大切なシグナルです。
「いつも頑張っている自分の身体」に少しだけ優しく目を向け、温かいスープを飲む、早めに寝る、お風呂にゆっくり浸かるといった小さなケアから始めてみてください。
ご自身のセルフケアだけでは解消しきれない頑固な痛みや冷え、婦人科トラブルがあるときは、どうぞ無理をなさらず、当クリニックにご相談ください。東洋医学と西洋医学の両面から、あなたがあなたらしく、笑顔で健やかな毎日を過ごせるよう全力でサポートいたします。



