女性と瘀血(おけつ)③

シリーズ連載『女性と瘀血(おけつ)』、今回のテーマは女性の身体の変遷を紐解く「漢方におけるライフサイクル」です。
東洋医学のバイブルとも言える漢方の古典『黄帝内経の教えを軸に、女性の心身がどのように変化し、そこに「血(けつ)」がどう関わるのかをお伝えできればと思います。
※黄帝内経(こうていだいけい):約2000年以上前の中国で編纂された、東洋医学(漢方)の現存する最古の医学書です。医学の基礎理論から、診断、治療(鍼灸など)、養生法まで幅広く記されており、現代の漢方医にとってもバイブル的な存在です。

『黄帝内経』には、女性の身体は「7の倍数」の年齢の時に「節目」を迎え、身体の変化が訪れるという興味深い記述があります。現代医学におけるホルモンバランスの変化とも驚くほど一致するこの教えは、私たちが自分自身の身体を理解するために大きな助けとなります。
因みに、男性は「8の倍数」の年齢の時が「節目」とされています。

『黄帝内経』「上古天真論では、女性の成長を以下のように説いています。
※上古天真論(じょうこてんしんろん):『黄帝内経』の冒頭にある重要な篇(章)の名前です。ここでは、理想的な生き方や、加齢に伴う身体の変化(女性の7年周期など)が記されており、健康で長生きするための養生思想が説かれています。

このサイクルのなかで特に注目すべきは「血(けつ)」の巡りです。以前のブログでも触れていますが、女性の身体は一生を通じて月経、妊娠、出産、閉経と、常に「血」と密接に関わっています。28歳をピークにエネルギーが下降線を描き始める30代半ば以降、気の巡りが滞る「気滞(きたい)」や、血の巡りが滞る「瘀血」が顕著になりやすくなります。
特に更年期(49歳前後)に向かう時期は、血を動かす力が弱まり、体内に古い血が停滞しやすくなります。これが肩こり、頭痛、冷え、のぼせ、さらには婦人科系疾患の引き金となることも少なくありません。

東洋医学の素晴らしい点は衰えをただ嘆くのではなく、現状に合わせた「養生(ようじょう)」があることです。

  • 20代・30代: 過労やストレスを避け、血を補い、巡らせる力を蓄える。
  • 40代以降: 補うだけでなく、滞り(瘀血)を取り除き、流れをスムーズに保つ工夫をする。

ご自身のライフサイクルが今どこにあり、どのような「血」の状態にあるのか。それを知ることは、10年後、20年後の自分を慈しむことにつながります。

「最近、巡りが悪いかも?」と感じたら、それは身体からの大切なサイン。漢方の知恵を借りて、巡りの良い日々を取り戻していきましょう。
どうしても気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。